北羽みんなのクリニック~月2回、当医師会の先生が北羽新報さんの紙上で
                 担当する健康コラムです。

最近の掲載から徐々に掲載致します。

No170 平成23年11月   脳卒中後遺症の言語障害 ~構音障害と失語~
                    三種町・森岳 温泉病院長   島田  薫先生

脳卒中の後遺症
脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の総称である脳卒中では、運動麻痺や言語障害などの後遺症を残す場合が多く、その言語障害には構音障害と失語があります。
構音障害
言葉が出るがはっきりしない(ろれつが回らない、舌がもつれる)場合は構音障害の可能性が考えられます。 構音障害とは発音を正しくできない状態で、構音に関与する口唇、舌、咽頭、喉頭などを支配する神経系が障害されることにより起こります。障害される部位により、鼻に抜けるような発音になったり、パ行やバ行が障害されたり、タ行やラ行が正しく発音できなくなったり、声量が小さく抑揚に乏しくなったりします。典型的な構音障害のみの場合では、内的言語が障害されないため、字を書くことは可能とされています。
失語
言葉が出にくい、言い間違えが多い、質問に対して無関係な返答をする、何も話さないなどの場合は、失語の可能性が考えられます。失語症とは、大脳の言語領域の障害のために言葉を正しく話すこと、理解することが障害された状態で、言葉を符号として操作する機能が障害されるものです。失語症には、理解面は比較的良いが話し方がたどたどしく発話量が少ないタイプ、理解面が著しく障害されて、なめらかな発話の割には言い間違いや意味不明な言葉が見られるタイプ、言語の自発性が低下するが復唱は良好なタイプ、「聞く・話す・読む・書く」のすべてが重度に障害されるタイプなどがあります。
脳の特定部位の損傷が、失語症の発生、状態に関係することから、失語症を起こす部位を言語機能の中枢である言語野とみなすことができ、統計的に九割以上の方の言語野は左大脳半球にあるとされています。
言語障害のリハビリ
言語障害に対するリハビリテーションは、言語聴覚士(ST)によって行われています。さまざまな評価・検査を通じて、どの種類の言語障害なのかを見極め、言葉の明瞭度を向上する訓練、言葉を思い出す訓練など、障害に応じた言語療法を行います。また、ご本人への訓練だけでなく、はい・いいえで答えられるような質問の仕方を御家族にお願いしたり、歯科と連携して入れ歯の調整を図る場合もあります。
脳卒中発症後には、急性期から回復期、維持期(在宅)へと、情報を共有しながら切れ目無く、医療・リハビリテーション・介護サービスが提供されることが重要です。 

ファイル:Brain diagram ja.svg

 

No170 平成23年9月  加齢黄斑変性症とその治療
                  のしろ眼科クリニック  浜野浩司先生

「加齢黄斑変性症(かれいおうはんへんせいしょう)」という病名を耳にしたことはありませんか。「黄斑」とは、カメラで例えるとフィルムにあたる網膜の中心部で一番敏感な部分です。その黄斑が、年をとってダメージを受ける病気が加齢黄斑変性症です。
この病気は、以前より欧米では失明原因の上位を占める怖い病気として知られていました。日本でも高齢者の増加や生活習慣の欧米化に伴いこの病気が増えており、現在、視覚障害の原因疾患としては4位となっています。
この病気になると、網膜の中心部の一番敏感な黄斑部が障害されるため、見たい部分の中心が、ゆがんで見えたり、ぼやけて見えたり、暗く見えたり、不鮮明に見えたりします。「滲出型(しんしゅつがた)」というタイプでは、障害部位が急速に広がり易く、急激に視力が失われる場合もあります。
加齢黄斑変性症は、脈絡膜から発生するもろくて破裂しやすい新生血管が増殖して、網膜に侵入して、黄斑部を腫れ上がらせることが原因であることがわかっています。ですから、病気を治すためには、この新生血管を増殖させないようすることが必要です。
最近になって、この病気に対して画期的な治療法が開発されました。ひとつは、光線力学的療法です。これは、光に反応するある薬剤を注射して、黄斑部の新生血管部分にこの薬剤を集めて、そこに特殊なレーザーを あてて、黄斑部の新生血管を退縮させる方法です。もうひとつは、新生血管の増殖を抑える薬を眼の中に直接注射して入り込ませ、新生血管を退縮させる抗血管新生薬療法です。
光線力学的療法は、特殊なレーザーが必要であるため治療出来る施設が限られていました。しかし、抗血管新生薬療法は、様々な施設で治療できる上、その病気の状態にもよりますが、光線力学的療法と同等か、それ以上の効果が期待されています。ただし、いずれの治療法でも一度の治療では不十分で、何度か繰り返して治療する必要があります。病変のサイズが小さく年齢も若いほど効果があるとされていますので、異常に気が付いたら、早めに眼科専門医を受診して、治療を受けることが大切です。
ところで、アメリカの大規模な調査によると、喫煙、高血圧や高脂血症の人はこの病気にかかりやすいことがわかってきました。また、野菜や果物に含まれるビタミンEやビタミンC、魚油に含まれるEPAなどの抗酸化物などを摂取するとかかりにくいことがわかっています。バランスのよい食事、適度な運動、場合によっては抗酸化物などのサプリメントが、この病気の予防になります。

 

No154 平成23年2月20日   早期大腸がんについて知ってもらいたいこと  
                    能代南病院 佐々木廣仁先生

 一般的にがんは、発見が早ければ早いほど根治が望める病気です。
 実際に早期大腸がんは、早期発見により100%近く完治がのぞめます。
 なぜがんが治ってしまうのか?そのことを理解してもらうために、がんの転移について説明します。
 がんの転移とは、がん細胞がリンパ節や全身の臓器に広がっていくことをいいます。
血管を介して全身のに広がることを血行性転移といい、リンパ管を介してリンパ節に広がることを、リンパ性転移といいます。直接おなかにちらばることを腹膜播種といいます。
転移は、がん細胞が散らばる道である血管やリンパ管が豊富な場所にあると起こりやすくなります。
 ではどのような場所に、血管やリンパ管が豊富なのでしょうか?
解説図をご覧ください。 解剖学的に、大腸は5層(粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜下層、漿膜)から構成されていますが、 この中でも特に筋層(筋肉の層)に血管やリンパ管が豊富に存在します。 ③~⑤のような進行した大腸がんは筋層以下に深く成長しているのでとても転移しやすい条件がそろっています。 これに対して、①②の早期の大腸がんは、粘膜から粘膜下層までにとどまっている状態のがんです。
 粘膜には血管とリンパ管は存在せず、粘膜下層にはわずかに血管とリンパ管が認められます。そのため早期の大腸がんでも、②のように粘膜下層まで成長すると転移がおこることがあります。その場合は、開腹手術によってがん組織だけでなく周りの組織も大きく切除することが必要となります。 ①のような粘膜に存在する早期の大腸がんは、転移の心配がなく内視鏡による切除で完全に治ることが期待できます。
 一般的な大腸がんの検査として「便潜血反応検査」があります。この検査は、なんらかの理由で大腸内で出血があると陽性と判断されます。簡便なのですが、不確実な検査です。理由として、早期の大腸がんがあっても30%の陽性率なので70%は見落としてしまうからです。
早期の大腸がんは自覚症状がないため、「大腸内視鏡検査」や「注腸X線検査」といった検査でないと発見できません。早期発見のためにこれらの検査を定期的に受けましょう。

大腸癌

 

No153 平成23年2月8日    「成長期の足のスポーツ障害・・・ねんざ(捻挫)」
                    楊整形外科医院 楊 国隆先生
 

成長期(小学生、中学生)の足のスポーツ障害の中で一番多いのが、足首のねんざ(捻挫)です。
 ねんざとは強い外力により、靭帯や関節包が損傷された状態をいいます。ほとんどは足首をうちがわにひねって起きるもので、下図の前距腓(ぜんきょひ)靭帯や踵腓(しょうひ)靭帯などの外側の靭帯が損傷されます。
 けがの程度は重症度により第1度から第3度に分けられます。第1度は靭帯繊維の軽い部分断裂で腫れと痛みが少しあります。一方、重症の第3度は靭帯の完全断裂で腫れや痛みや皮下出血が強く、足首の不安定性も生じます。この状態では足もつけない状態になります。第2度はその中間の状態で、靭帯の部分断裂です。
 10歳くらいまでの学童期の場合は、靭帯そのものよりもむしろ靭帯がくっつく骨の方が弱いため、剥離骨折を生じることも多く注意が必要です。この場合は初回のレントゲン写真ではっきりしないこともあり、一定期間後に再度レントゲン撮影を行い診断します。
 ねんざの直後は、有名なRICE処置が必要です。RICEとは1)Resting(安静)、2)Icing(冷却)、3)Compression(圧迫)、4)Elevation(挙上)の4つです。
 治療は、第1度の場合は、湿布と弾性包帯固定を行い、痛みがとれてきたらスポーツを開始します。第3度のように靭帯の完全断裂の場合は、ギブスや硬性装具で2,3週間固定し、その後サポーターやテーピングなどもとりいれながら、段階的にスポーツに復帰します。靭帯縫合術などの手術を行うこともあります。剥離骨折が疑われる場合は、最初からギブス固定をした方がいいでしょう。ギブスも完全にまく方法と、ギブスシーネ固定といってギブスの板を包帯でまいて固定する方法があります。
 靭帯断裂がある場合に適切な初期治療を行わないと、痛みが残るだけでなく足首の不安定性も残り、何回も捻挫を繰り返すようになり、スポーツ活動のさまたげになることがあります。この場合は、骨の成長が終わるのを待って、靭帯再建術を行うことになり、精神的にも肉体的にも負担となりますので、足首の不安定性が残らないように初期治療を適切に行わなければなりません。
 足首をひねるけがは、昔から「ねんざ」といってごくありふれたものですが、スポーツで受傷した場合は、このように程度の差はありますが「靭帯断裂」のことがほとんどです。早くスポーツ復帰ができるように、またあとあと問題になるような不安定性や剥離骨片を残さないためにも、適切な診断と治療が必要ですので、運動器を専門に治療している整形外科を受診されることをおすすめします。

 

No152 平成23年1月   ワクチンで子宮頸がんや細菌性髄膜炎を予防しましょう
               石川こどもクリニック 石川孝成先生

 新聞等でご存知の方も多いと思われますが、いよいよ2月1日より能代市山本郡4市町で子宮頸がん予防ワクチン、ヒブ(Hib)ワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの接種が始まります。
昨年の11月に国でワクチン接種の緊急促進臨時特例給付の予算が成立し、また各自治体の尽力により当地域では3種類のワクチンの全額助成が決定しました。これまでは任意ワクチンであったたため県内でも自治体により助成には温度差がありましたが、今回の決定は非常に歓迎すべきことです。
 今年度については、あと2ヶ月しかありませんので、予防接種券が郵送されたご家庭ではしっかりとお子さんの月(年)齢を確認しながら対象となるワクチンの接種を受けて頂きたいと思います。なお次年度以降については今後確定することと思われますが、最も望ましいのは早く定期接種に組み入れられることです。よく言われていることですが、残念ながら日本の予防接種制度は海外より10年以上遅れているのが実情ですので、今回はその第一歩として今後に期待したいところです。
 子宮頸がん予防ワクチンについては、このコラムでも何度か取り上げられてきました。毎年約2500人の女性が子宮頸がんで亡くなっており、原因であるヒトパピローマウイルスに対するワクチンとして平成21年12月に発売され、予防できるがんワクチンとして大いに期待されてきました。しかし高価であることからなかなか接種が進まず、ようやく今回助成が得られましたので是非とも接種して頂きたいと思います。なお対象者は国では中1~高1女子ですが、当地では上限を拡大し高3相当まで助成する所もあるようです。
ヒブ(Hib、インフルエンザ菌b型、冬期に流行するインフルエンザウイルスとは関係ありません)と肺炎球菌は小児の重症細菌感染症の原因の代表です。特に髄膜炎の原因菌として重要で、乳幼児(2ヶ月~5歳位)に多く、死亡率が高くまた後遺症も重いのですが、症状が乏しいため診断や治療が困難な病気です。
Hib髄膜炎は毎年約600人発症し、しかも増加傾向にあります。他にも敗血症や喉頭蓋炎、肺炎などがあり、最近では抗生物質の耐性化もあり治療も困難になってきています。ヒブワクチンは平成20年12月に発売され、任意接種されてきましたが、定期接種として先行しているは欧米では髄膜炎が激減し明確な予防効果が示されています。
  肺炎球菌は乳幼児の鼻咽頭に高率に定着し、髄膜炎、敗血症、肺炎、中耳炎などを発症します。Hibの次に髄膜炎の原因として多く、乳幼児にリスクが高いことや診断治療に難渋することや、また抗生物質への耐性化も同様です。成人用(23価タイプ)のワクチンはかなり以前から使用されていますが、組成が異なるため乳幼児では効果がなく、小児用(7価タイプ)は平成22年2月に発売されました。ヒブワクチン同様、既に海外100カ国以上で承認され、その効果が証明されています。
 なお、この2つのワクチンは同時接種が可能であり、3種混合(DPT)ワクチン等と一緒に両腕などに行われることもあります。また副反応は海外での調査で主に局所の発赤や硬結、発熱などで頻度も他のワクチンと同程度と報告されています。対象時期は2ヶ月から5歳未満で、回数が月(年)齢で異なるため、市町の予防接種担当課または医療機関によく相談してスケジュールを組みましょう。
 例年3月1日~7日は「こども予防接種週間」です。市民講座(当医師会HP参照、秋田市)も予定されています。どうぞこの機会に予防接種への意識を高めて頂けましたら幸いです。

----- 市民公開講座 -----
  日時:平成23年2月11日(金、祝日)
     14時~16時
  場所:秋田市文化会館 5階大会議室
     秋田市山王7-3-1
講演「ワクチンで防げる病気を知って、子どもを守ろう」
日赤医療センター小児科 園部 友良 先生
他、2題と質疑応答
  *問い合わせ 市立秋田総合病院小児科 小泉ひろみ先生
         (病院代表 018-823-4171)
主催:秋田県小児科医会ほか
    
  

No151 平成23年1月 黄斑変性の治療について
              工藤眼科医院 小山 ゆかり 先生

 最近、黄斑変性という言葉を耳にしませんか?失明原因の第4位とか、簡単に治療ができるようになりましたなどと広告でも見かけます。
黄斑変性とはどんな病気なのでしょう?そして、簡単な治療ってどんな事をするのでしょう?
 黄斑とは、視野のど真ん中を見るとても大事な部分のことを言います。この黄斑という部分で細かい文字を読んだり、色を識別したりしています。この大事な部分が変性する病気ですから、中央だけが歪んで見えたり、真ん中だけ暗くなって見えたり、と見たい所が良く見えないという症状が出てきます。
 正式には加齢黄斑変性(AMD)という病名です。欧米では高齢者の中途失明原因の第1位です。日本では現在失明原因の第4位ですが、今後高齢化とともに欧米並みに増加することが予想されています。
 以前はこれといった治療法がなく、様子を見ているしかありませんでしたが、最近では検査機器の進歩及び新しい治療薬が開発され、良い成績を上げています。
加齢黄斑変性は大きく分けて萎縮型と滲出型の2つに分類されています。治療の適応になるのは滲出型になりますので、こちらの説明をしていきます。
 加齢、喫煙、ストレス、紫外線、遺伝など様々な要因が重なり合って黄斑という大事な部分に血管新生が起こります。本来あるべきでないこの血管はもろくて出血しやすく、血漿成分(水分)が漏出しやすいため黄斑にムクミが生じたり、脂肪成分が沈着し、視力が低下します。これが黄斑変性と呼ばれる状態です。
 私たちの体には血管新生を制御する因子:血管内皮増殖因子(VEGF)という物が備わっており、正常な発育に必要な生理的血管新生も加齢黄斑変性のような病的血管新生もこのVEGFの働きに依存しています。ですから、このVEGFを阻害することで病的な血管新生を止めてしまうという治療法が登場しました(2008年)。眼球内に坑VEGF薬を注射するという方法です。治療は15分程度で終わり入院も必要ありません。この注射を1~3ヶ月の間隔で何回か繰り返して行います。ただ、この抗VEGF薬はとても高価な薬剤です。現在2種類の抗VEGF薬が使用されていますが、それぞれ17万円、12万円という金額ですから、3割負担の方ですと1回の治療で4~5万円かかるため、治療を躊躇する方もいるようです。
 治療が簡単になったからと言っても経験豊富な医師と、整った施設が必要ですので、どこでも治療できるわけではありません。県内では約7施設で行っているようです。また1回の治療で終了するわけではありませんし、副作用が起こる可能性もありますので、定期的に診察を受けることが必要です。症状がうまく改善しない場合は他の治療方法を組み合わせて行う場合もあります。
 いずれにしても、早期発見・早期治療が大切ですので、気になる症状がある方はお近くの眼科医にご相談ください。

 

No 150 H22.12.18 婦人科検診について 
            関口レディースクリニック 関口 一彦 先生

 北羽新報を愛読されている皆さん、こんにちは。今回は婦人科検診について書いてみようと思います。
丁度、先日の記事で乳がん検診の受診率の低さが問題となっていましたが、婦人科検診も同様で、昨年度の秋田県全体の受診率は検診事業対象者のわずか22.4%でした。欧米の受診率が概ね70~80%という高さから考えると、いかに低いかがわかると思います。もちろん、かかりつけ医で受けている方は事業対象の統計には入っていませんので、実際はもう少し上がるのでしょうけれど、それを加えても、まだまだ低いと言わざるを得ません。受診率をあげるにはどうしたら良いか?確かに難しい問題ですが、まず産婦人科という病院、医院、そして検診を扱う施設が皆さんにとって、安心して、かつ受診しやすい環境になること、そして皆さんも欧米の受診率に少しでも近づけるように、自身の健康について、もう一度意識改革をしていただくことではないかと、思います。
では次に婦人科検診でわかることを、列挙してみます。もちろん、超音波検査が含まれる検診です。

  1. 子宮頸がんが無いかどうか。
  2. 子宮体がんを疑う所見が無いか。
  3. 子宮や卵巣などに病変が無いか。
  4. 炎症病変が無いか。
  5. 子宮にポリープが無いか。

などです。検診時間は概ね一分で終わりますので、短時間でできる有効な検査であると思います。子宮頸がんは、男性の前立腺がんのような、早期発見の腫瘍マーカーがありませんので、検診が唯一の発見手段です。
数年前から、急激に進む子宮頸がんの報告があり、一年前の検診では大丈夫だったのに翌年には精密検査が必要となる例が、どこの施設でもしばしばみられています。人パピローマウィルス(HPV)の感染によるものと考えられていて、特に若い年代に多く、20代からの検診の必要性が叫ばれている理由なのです。衝撃的な話ですが、実は10代でも、見つかっていて、性交渉との関連が強く示唆されています(HPVワクチンに関しては前回の記事を参照して下さい)。また子宮筋腫、卵巣腫瘍などの中には、一年間でかなり発育してしまう例もあります。このようなことからも、少なくとも一年に一回は検診が必要だということになるのです。
最近では、他の検診でもそうですが、受けられる機会が、二年に一度になったり、年齢制限があったり、超音波検査がはずされたりなど、いろいろ制限がかかるようになってきています。可能でしたら、追加オプションで実施してもらうか、あるいは、婦人科かかりつけ医で診てもらうなどして、健康管理をしていただければと思います。
“年に一度は、検診を!”を合言葉にしてみて下さい。

 

No 149    H22.12.8   パーキンソン病     
                佐藤医院   佐藤家隆 先生

 中高年の方で、片方の手や足が何となく震える、動作が鈍くなってきた、などの症状が見られたら、パーキンソン病が疑われます。
 パーキンソン病は、脳の中にある黒質という部分の神経細胞が減り、そこで産生されるドーパミンが不足することによって起こりますが、その原因はまだ解明されていません。50歳から60歳代の人に最も多く、男性にも女性にも同じように見られます。
 パーキンソン病は、①振戦(しんせん)、②筋強剛、③無動。④姿勢反射障害の4つが大きな症状です。
 ①振戦(しんせん)は、震えのことです。パーキンソン病の時の震えは、左右どちらかに強く、安静時に強くなるという特徴があります。手指に起こる振戦は丸薬を指で丸める仕草に似ています。
 ②筋強剛は、手足の筋肉が固くなることです。自分で気がつくことは少ないのですが、医師が患者さんの肘や手首を動かすと、滑らかに動かず、ガクガクした動きになります。
 ③パーキンソン病では、動きが遅くなったり少なくなったりする、無動と呼ばれる症状がよく見られます。動くまでに時間がかかったり、細かい動作ができなくなります。このため、歩くのが遅くなり、書いている字がだんだん小さくなったり、まばたきが少なくなり顔に表情がなくなったりします。
 ④パーキンソン病の患者さんは、何かの拍子に姿勢が揺らぐと、姿勢を立て直すことができません。姿勢が前屈みになり、小刻みな歩きをするようになります。すぐに転びやすくなり、歩いていると止まることができなかったり、向きをを変えることができなくなります。 
 パーキンソン病の治療は、薬物療法が中心です。不足しているドーパミンを補充するなどして、パーキンソン病の症状をかなりコントロールすることができるようになりました。ただ、それらの効果は患者さんそれぞれに一様ではありません。薬の効果を見ながら、薬の種類、服用時間などをきめ細かく調節する必要があります。また、副作用や急に服用をやめると危険な場合などがありますので、医師とよく相談しながら治療を継続することが大切です。場合によっては、定位脳手術という外科治療が行われることもあります。
 他の疾患で治療している場合、服用している薬が原因でパーキンソン病と同じような症状が出ることがあります。医療機関を受診する時は必ず医師に服用中の薬を伝えて下さい。
 なお、パーキンソン病は、通常は遺伝しないことが知られています。

                                 以下、続刊予定