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銭谷整形外科クリニック 銭谷雅博先生より
N O −1 つき指
〈つき指とは〉
いわゆる「つき指」とは、指に対していろいろな方向から外力が
加わって起こったケガの総称です。スポーツの現場ではよくみられ
るケガです。野球で打球が指にぶつかる、バスケットポールでパス
カットに手を出したときに指がボールにぶつかる、スキーで転倒し
て雪面に手をつく、などです。よくあるケガのためか「軽いケガ」
と考えられて軽視されがちです。受傷後長期間放置され、あるいは
不適切な治療を受けて、関節の動きが悪くなったり、いつまでも痛
みが残ったりする患者さんも少なくありません。
患者さんが「つき指しました。」といって外来を受診した場合、
軽い打撲、軽い捻挫である場合から、指を動かしている腱や関節を
支えている靭帯の断裂、脱臼、骨折をおこしている場合までさまざま
です。受傷後早期に適切な治療を開始すれば、後遺症を残さずに
治るものが多いので、たとえ軽症と考えても専門医の診察を受ける
ことが必要です。
<つき指の治療>
軽い打撲、軽い稔挫であればアイシングをして少し安静にしてい
れば、スポーツが続行可能なことがありますが、これ以上重症な場
合、安易にテーピングなどをしてスポーツを続行すると、損傷をさ
らに悪化させることとなります。脱臼やひどい骨折のときには、指
が変形するのですぐに異常がわかります。変形がなくても、腫れが
だんだんひどくなってきたり、皮膚が紫色になってきたりするとき
には、骨折や靭帯断裂をおこしている可能性があります。靭帯や膿
も、中等度以上の断裂があると湿布をするだけでは治りません。
受傷直後は、患部をアイシングし、自分の心臓よりも高い位置に
挙上しておき、腫れを最小限にします。アイシングは氷嚢で圧迫、
又は氷水を入れたコップに指を入れて10〜3 0分程度冷やし、冷
やしているところの感覚がなく なったら一度休みます。そして
皮膚の温度や感覚が戻ったら再度冷やします。患部の安静固定には
副木固定をします。適当な副木がなければ、厚紙や新聞紙を堅く折り
曲げたものでも代用できます。突き指の直後に指を引っ張っている
人がいますが、場合によってはケガを悪化させますので、やめて
下さい。
ケガの程度を自己判断することは危険です。骨折の有無や、靭帯
損傷の程度を判断するには、正確なレントゲン写真が必要となりま
す。治療も骨折や靭帯損傷の程度によって、固定方法や固定期間も
異なり、なかには手術を必要とする場合もあります。隻傷後、専門
医の診断、指示を受けて、早期のスポーツ復帰を目指しましょう。