能代市山本郡医師会 ワンポイント健康講座
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銭谷整形外科クリニック 銭谷雅博先生より
6. 足首の捻挫
{捻挫とは}
捻挫というのは、関節に外から強い力が加わって、関節を支えて
いる靭帯に損傷がおこるものです。特に足首の捻挫は、スポーツで
おこるケガの約15%を占めており、日常生活でも段差を踏み外し
て受傷するなど、多くの人が一度は経験しているケガと思われます。
しかし、よくあるケガであるために逆に軽視され、適切な治療を受
けないばかりに受傷後長期間、腫れや痛みなどが残ったり、何度も
再発したり(いわゆる「癖になる」)することがあります。
〈ケガの程度による分類〉
靭帯のケガはその程度によって3段階に分けられます。
軽症:靭帯に肉眼的には断裂はなく、靭帯が伸ばされた状態で、痛
みも軽く、関節は安定しています。
中等症:靭帯の一部が断裂していて、腫れや痛みがあり、足をつく
ことはできても、痛みや関節の不安定感のために歩行が困難になり
ます。
重症:靭帯が完全に断裂していて、腫れや痛みも強く、立つことも
困難となります。
〈捻挫の治療〉
「足首をひねって痛めた」場合、まず行っていただきたいことは、
氷嚢を作ってそれを患部にあて、包帯などでそれを固定して、でき
れば自分の心臓の高さより高めの位置に足を挙上して安静にするこ
とです。氷がなければ、水で濡らしたタオルで患部を固定するだけ
もよいです。スポーツ活動中に受傷して、すぐにテーピングをして
スポーツを続行しようとする人がいますが、捻挫の重症の程度を自
、己判断してこのようなことを行うのは危険です。骨折をおこしてい
るかもしれないし、また、テーピング後に徐々に腫れてきて血行障書
をおこし、患部を悪化させることもあるのです。
適切な応急処置を行って、患部の腫れや内出血を最小限にします。
その後に専門医の診察を受けます。捻挫の重症度の診断のほか、レ
ントゲン写真で骨折がないかどうかを確かめてもらいます。捻挫を
するときと同じような足首のひねりかたでも、骨折を起こしている
場合があります。その他、筋肉のケガなどが合併していないかどう
かを診察してもらいます。痛みなく足に体重をかけられるまで、松
葉杖を使用します。重症の靭帯損傷の場合は、断裂した靭帯の断端
を最も近づけて修復を促進するためにギプス固定を行ったり、時に
は手術を行うこともあります。再発させないために、できるだけ靭
帯のゆるみを残さないように治療します。
靭帯の損傷が重症であるはど、足首の動きが悪くなったり、足首
を支えている筋肉の力が落ちてしまったり します。これも捻挫の再
発の原因となります。リハビリを行ってこれをケガをする前の状態
まで回復させます。靭帯には関節のバランスを調整する働きもあり、
これを回復させる訓練も行います。スポーツ選手の場合は、以上の
訓練の後、各種目に必要なトレーニングを行って、競技復帰します。