2002年4月24日号(NO.141)
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鮎三昧 其の五 習 性 | ||
3月21日、いよいよ渓流が解禁と なり、その先には鮎の季節が待ってい るともなれば、おのずから仕掛け作り に熱が入るというもの。 鮎に取り付かれたものは習性として この時期に目覚め始めるのである。 今時分は早朝に固く締まった雪の上 を歩き、上流へと移動しながら山女や サクラマスの幼魚を対象に竿を出すの であるが、里川ではすでに雪はほとん どなく、源流部でさえ普段の半分以下 の量である。 ましてや長期予報によると今年は数 年ぶりにエルニーニョ現象が起こりそ うであり、再び冷夏ともなれば鮎の成 育にも影響するため、今から悩みは尽 きない。 さて鮎三昧の本論に入ろう。 鮎の友釣りとはオトリとなる鮎を、 いかに思うように泳がせて、自分の思 っている鮎のいそうな川筋に送り込む かという事が、最大のキーポイントで ある。そのためには鮎の習性を熟知す る必要がある。 鮎という魚は分類学的にはニシン目 サケ亜目に属し、ワカサギやシシャモ などの種と近い。 そして鮎はアジアの東部、すなわち 太平洋岸に棲息し、日本を中心に朝鮮 半島、中国沿岸に分布するが、石の少 ない大陸の河川には適さないといわれ る。 |
その大きさは通常、全長15cmから 25cm、体重40gから120gのものが 多いが、中には全長30cm、体重400g から500gに達するものもあり、特に 川辺川ダム建設工事反対に揺れる九州 の球磨川上流の巨鮎が有名である。た だし昨年食した鮎は大きいばかりで食 味感に欠けた。 米代川中下流の大林地区における産 卵場所では約30cm四方の川底に約二 十万個ほどの魚卵がぴっしりと産み付 けられ、10日ほどで孵化し、幼魚は、 秋の深まりとともに海へ下って行く。 なんと言っても天然鮎の遡上が日本一 と思われる米代川の秘密はここ、この 産卵場所にある。 すなわち広大な河原の川が少なくな った昨今、産卵場所に適した深さや流 速があり、一面、手拳大の石が敷き詰 められた平瀬が存在し、これが豊富な 鮎誕生の原点となっているらしい。 昨年9月に行われた北里大学、国土 交通省、秋田県の合同調査ではこの産 卵地域は禁漁区にすべきだとの声があ った。目的が不明瞭なダムや河川改修 を手がける国土交通省にしては珍しく 前向きの発言と感心。 鮎の名川といわれる河川においては、 ガラガケ(別名、グイショ、コロガシ などともいう)、投網などは産卵期には このような場所は禁漁として、翌年の 大量の遡上を祈願したいものである。 |
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やがて海で成長した稚鮎が、春先の 河口水温の上昇とともに河口に接近し、 川を遡上し始める。 鮎は成長するに従って低い水温を好 むようになる特徴がある。稚鮎が接岸 してくるのは早春の頃で、河川の水温 は海水の温度よりまだ低い時期である。 河口域へ接岸した稚鮎は、水温を感 知しながら、支流や上流へと向かう。 このときもっとも元気な鮎がしっかり と上流へ向かい、早瀬や平瀬で一定の 河床を占有してナワバリを形成する。 ナワバリの広さは1m2内外で、ナワバ リ鮨はナワバリを含めて2〜3m2の範 囲内で泳ぎ回っている。 一方、鮎師(鮎狂い)たるもの、こ こに囮鮎をいかにして送り込むかが最 大のポイントである。引かず緩めず竿 先曲げずのセオリーどおり、鮎をナワ バリに送り込み、これから起こるべく 感激の一瞬を待つ。友釣りの醍醐味も そこに存在するのである。 遡上の初期にいい苔のついた石をナ ワバリにした鮎は一番鮎ともいわれ、 この中での着生した藻類を独占し、侵 入する他魚を猛烈に攻撃する。つまり 闘争心の激しい鮎ほど囮鮎などのよそ 者に対し敵愾心が強く、体当たりで向 かってくる。この瞬間鮎は細糸につけ られた目印を激しく上下させ、掛かり 鮎となって一気に川下へと走る。鮎竿 を下流に延ばされないように慎重に竿を 立て、時には下流へ2、3歩下がり鮎 が止まるのを待つ。まず、囮鮎が水面 に現れ、掛かり鮎がその姿を現したと き竿を天に向かってゆっくりと突き上 げる。一瞬時間が止まったような意識 の中、鮎は竿の復元力によって釣り人 の元へ飛んでくる。手綱(タモ)にそ の優美な姿が収まった時、ふと我にか えり優越感と満足感が交錯した至福の ときを迎える。 |
一方、天然遡上の少ない河川やダム philumという厄介なバクテリアによる ・・・・・・・・・・。 渓流釣りが一段落すれば仕掛け作り |
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